この記事で分かること
Claude Delegatorは、Claude Code内から複雑なタスクをGPT(Codex CLI)の専門家エージェントに委譲するプラグインです。
できること:
- システム設計・セキュリティレビュー・コードレビューを別AIに依頼
- 失敗時の自動エスカレーション(2回失敗→別アプローチ)
- 5種類の専門家への自動/手動ルーティング
できないこと:
- 委譲先の応答品質の保証
- 機密コードの完全な保護(外部APIにコードが送信される)
- セッション間のコンテキスト保持(毎回ステートレス)
なぜ委譲するのか
委譲の価値:
- セカンドオピニオン - 異なるモデルの視点で見落としを防ぐ
- 専門特化プロンプト - 各エキスパートが最適化されたプロンプトを持つ
- 責務分離 - 分析と実装を明確に分ける
委譲のコスト:
- 追加のAPI呼び出し(時間・料金)
- コンテキストの再構築オーバーヘッド
- 誤ルーティングのリスク
5つの専門家エージェント
| エージェント | 専門領域 | 典型的なトリガー |
|---|---|---|
| Architect | システム設計・技術戦略 | 「どう構造化すべき?」「AとBどちらを使う?」 |
| Plan Reviewer | 計画の検証 | 「この計画をレビューして」 |
| Scope Analyst | 要件の曖昧性発見 | 「何を見落としてる?」 |
| Code Reviewer | コード品質・バグ検出 | 「このコードをレビュー」 |
| Security Analyst | 脆弱性・脅威モデリング | 「これは安全?」「セキュリティレビュー」 |
Architect(アーキテクト)
システム設計と技術的トレードオフの分析を担当。
設計哲学:「要件を満たす最もシンプルな解決策」
出力形式:
- 結論(2-3文)
- アクションステップ(番号付き)
- 工数見積もり(Quick / Short / Medium / Large)
Plan Reviewer(プランレビュアー)
実装前の計画を4つの基準で検証。
| 基準 | 問い |
|---|---|
| Clarity | 実装詳細の参照先が90%以上明確か? |
| Verification | 具体的な完了基準があるか? |
| Completeness | 情報ギャップが10%未満か? |
| Big Picture | 目的・背景・成功定義が明確か? |
出力:APPROVE または REJECT(具体的理由付き)
Scope Analyst(スコープアナリスト)
計画を立てる前に曖昧性を発見。
検出するアンチパターン:
- 「将来に備えて」 → 具体的ニーズなし
- 「ついでに」 → スコープクリープの兆候
- 「簡単なはず」 → 見積もりの曖昧さ
Code Reviewer(コードレビュアー)
コード品質をレビュー。優先順位は:
- Correctness - ロジックエラー、エッジケース
- Security - 入力検証、OWASP脆弱性
- Performance - N+1クエリ、メモリ問題
- Maintainability - 可読性、エラーハンドリング
除外対象:スタイルの細かい指摘、命名規則の好み
Security Analyst(セキュリティアナリスト)
OWASP Top 10を中心に脆弱性をチェック。
脅威モデリングフレームワーク:
- Assets - 守るべき価値
- Threat Actors - 想定する攻撃者
- Attack Surface - 露出している要素
- Attack Vectors - 攻撃手法
動作モード
| モード | サンドボックス | 用途 |
|---|---|---|
| Advisory | read-only | 分析・推奨・レビュー |
| Implementation | workspace-write | 変更・修正・実装 |
注意:サンドボックスの強制はプラグイン設定に依存。設定ミスがあると意図しない書き込みが発生しうる。
委譲フロー
7ステップの詳細
- トリガー検出 - ユーザー入力をパターンに照合
- 専門家選択 - 適切なエキスパートを決定
- モード決定 - Advisory or Implementation
- ユーザー通知 - 「Delegating to [Expert]: [summary]」
- プロンプト構築 - 7セクション形式でコンテキストを含める
- Codex呼び出し - MCP経由で実行
- 応答処理 - 結果を統合・検証
ステートレス設計の意味
各委譲は完全に独立。エキスパートは前回の呼び出しを記憶していない。
メリット:
- シンプルな実装
- 呼び出し間の依存がない
デメリット:
- 毎回コンテキストを再構築するコスト
- リトライ時にトークン消費が増大
7セクション委譲フォーマット
すべての委譲プロンプトはこの形式に従う:
具体例:成功と失敗
成功例:アーキテクチャ相談
失敗例:誤ルーティング
失敗例:コンテキスト上限
インストールと設定
前提条件
プラグインインストール
手動設定(オプション)
~/.claude/settings.json:
制約と運用上の注意
セキュリティ境界
委譲時に送信されるもの:
- プロンプト全文(7セクション)
- 関連コードスニペット
- エラーログ(リトライ時)
機密コードを扱う場合の注意:
- 環境変数・認証情報を含むコードは送信しない
- 社内規定でAPI経由の外部送信が禁止されていないか確認
コスト
| 操作 | 概算時間 | トークン消費 |
|---|---|---|
| 単純な質問(委譲なし) | 数秒 | 低 |
| Advisory委譲 | 10-30秒 | 中 |
| Implementation委譲 | 30-60秒 | 高 |
| 3回リトライ | 2-3分 | 非常に高 |
誤判定への対処
| 問題 | 対処 |
|---|---|
| 意図しない専門家に委譲された | 明示的にエキスパートを指定 |
| 委譲が不要なのに委譲された | 「直接答えて」と指示 |
| 委譲が必要なのに直接処理された | 「GPTに聞いて」と明示 |
委譲すべき場面・避けるべき場面
委譲すべき
- アーキテクチャの重要な意思決定
- 2回以上同じ修正に失敗した時
- セキュリティに関わる変更
- 大規模な計画の実行前
委譲を避けるべき
- シンプルなファイル操作
- 初回の修正試行
- 機密コードを含む作業
- 単純な質問
トラブルシューティング
| 問題 | 解決策 |
|---|---|
| MCPサーバーが検出されない | Claude Codeを再起動 |
| 認証失敗 | codex loginを実行 |
| ツールが表示されない | settings.jsonの設定を確認 |
| 専門家が呼び出されない | 明示的に「GPTに聞いて」と指定 |
まとめ
Claude Delegatorは、Claude CodeからGPTエキスパートへタスクを委譲する統合ツール。
適しているケース:
- セカンドオピニオンが欲しい設計判断
- 専門的なセキュリティレビュー
- 行き詰まった時のエスカレーション
適していないケース:
- 機密性の高いコードを扱う作業
- 単純で即時応答が欲しい質問
- コスト・時間に余裕がない状況
導入前に確認すべきこと:
- 外部APIへのコード送信が許可されているか
- 追加のAPI費用を許容できるか
- 委譲のレイテンシを許容できるか
参考リンク
- GitHub:
- ライセンス: MIT
- 作者: Jarrod Watts