薬機法チェックツールを独自開発した背景と技術的な話

要約
薬事マーケターが、広告の薬機法・景表法チェックを自動化するツールを独自開発。LLMを使わず辞書データと正規表現を活用し、高速かつ無料で提供する背景と技術的な裏側を解説します。属人化の解消や作業時間50%削減の実績など、現場の視点がつまった開発記です。
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はじめに

はじめまして。薬事マーケターを14年やっている、合同会社B&H Promoter'sの江良公宏と申します。

今回開発した薬機法チェックツールは、広告テキストを入力すると、Yahoo!広告掲載基準をはじめとした薬機法・景品表示法などの規制に照らし合わせて、掲載OKかNGかを素早く判断できるWebツールです。

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実際の動作デモ

この記事は、このツールを作ろうと思った背景と、開発を進める中で直面した技術的な課題の記録を兼ねて書きました。プログラマーでない方にも読んでいただけるよう、なるべく平易な言葉で書いていますが、技術的な話も混じりますのでご了承ください。


なぜ作ったのか?──業界が抱える「属人化」の問題

このツールを作ろうと思ったきっかけは、いろいろな会社の担当者と話すうちに見えてきた、業界共通の課題です。

広告表現の薬機法チェックは、多くの会社で担当者個人の経験と知識に依存しています。その結果、チェックの精度にばらつきが生まれ、担当者が変わったり、量が増えたりした途端に抜け漏れが発生する──そういった事例を、様々な会社で何度も目にしてきました。

さらに近年は広告量自体が増加しており、目視によるチェック作業の負担は年々大きくなっています。チェックにかかる時間そのものを短縮したい、という声も多く聞かれていました。

また、世の中を見渡しても、誰でも気軽に使える薬機法チェックツールがほとんど存在しません。業界を少しでも変える一手になればと思い、今回は無料での提供を決めました。


開発の方針──LLMを使わない選択

「無料で使えること」を最優先にしたため、真っ先に選択肢から外れたのがLLM(大規模言語モデル)の活用でした。ChatGPTなどのAPIを使えば精度の高い文脈判定も可能ですが、利用コストがかかる以上、無料での提供は成り立ちません。

そこで、辞書データと正規表現による機械的なテキストマッチングという方向性を選びました。コストをかけずに高速で処理でき、かつ属人性を排除できるという点で、今回の目的に合致したアプローチです。

UIについても、チェックしたいテキストを貼り付けてボタンを押すだけ、という直感的な操作性を徹底しました。難しい操作なしに判定結果がその場でハイライト表示されるため、薬事の専門知識がない方でも問題箇所をひと目で把握できます。


こだわったUI設計──カラーリングの工夫

ツールの表示については、弊社が普段の業務で使っている色分けをそのまま踏襲しました。

  • 薬機法(薬事法): グリーン
  • 景品表示法: ピンク
  • 特定商取引法: ブルー

普段弊社に業務を依頼してくださっているクライアントの方々にも、ひと目でわかるよう統一しています。このような運用の実態に即した設計が、ツールの使い勝手を大きく左右すると実感しています。


システムの構成

技術的な構成を簡単にご紹介します。

  • フロントエンド(画面): ユーザーが大量のテキストをストレスなく流し込めるよう、直感的な操作感とリアルタイムなフィードバックを意識したシングルページアプリケーション(SPA)として構築。
  • バックエンド(処理): サーバー側で高度な正規表現マッチングを高速に実行。LLMに頼らない設計により、計算リソースを最適化し、低コストな運用を実現しています。
  • データベース(辞書): 薬機法・景表法・Yahoo!広告掲載基準に基づくNGワードを、検索効率を最大化した構造で管理。管理画面からCSVで一括登録・更新できるようにしています。
  • セキュリティ・通信: 辞書データの安全な更新のため、機密性の高い情報を安全にやり取りできるデータ変換・通信の仕組みも設けています。

導入効果について

今回の公開版の効果はまだ評価中ですが、以前に同様のチェックツールを社内用に構築した際には、チェックにかかる時間が50%以上削減されたという実績があります。今回のツールも同様の効果が期待できると考えています。


今後の展望

今後実装を検討している機能として、以前の社内用システムに搭載していた画像認識システムURLからのテキスト取り込み機能があります。ランディングページのURLを入力するだけでチェックができるようになれば、さらに使いやすくなるはずです。

ただし、これらの機能には画像認識APIなどの外部サービスの利用コストが発生するため、無料での提供は難しくなる可能性があります。まずは現在の機能を最終調整の上、無料版を公開する予定です。

興味のある方は、ぜひ楽しみにお待ちください。
今後、 にて公開します。

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