
n8n/Dify/Zapierとの違い・使い方・実例まで
「AIエージェントを自作したいけどプログラミングが難しそう」
「日々の定型業務を自動化したいけど、既存ツールの設定が複雑で挫折した…」
そんな悩みを、AIの力で“作る工程”そのものを支援して解決するのが sim.ai です。
TL;DR(要約)
- sim.ai は、AIを中核に据えたビジュアル型“エージェント/ワークフロー”構築プラットフォーム。Figmaのようなキャンバス上でノーコード構築が可能。
- Copilot が対話で設計・編集を支援。**「AIに作らせる」**体験が中核。
- オープンソース(Apache-2.0)&セルフホスト可。データ主権・コスト最適化に強い。
- 既存のIFTTT型(Zapier等)にAIの推論・判断を組み込めるのが最大の差分。
- 業務の厳密な制御が要るRPA寄りの用途はn8nが依然優位な場面も。適材適所が結論。
※本記事の内容は上記YouTube動画でも解説しています。動画派の方は冒頭リンクからどうぞ。
sim.aiとは?
一言でいうと、「AIを主役にしたビジュアル型のエージェント/ワークフロー・ビルダー」。
キャンバスでノードをドラッグ&ドロップし、LLM・外部SaaS・自社データをつないで処理を組み立てます。ノーコードでチャットUI公開/API化/Webhook化/スケジュール実行まで対応。
何が従来ツールと違う?
従来は 「Aのトリガー → Bのアクション」 の直列接続が中心。
sim.ai はパイプの途中に “思考・判断・生成”を担うAIエージェント を主役として組み込めます。
→ 条件分岐・要約・意図判定・文面生成 など、人の判断を代替する処理まで自動化。
できること(代表例)
- 社内ドキュメントRAG:PDFや社内ナレッジを知識源にしたFAQチャットボット
- 市場調査エージェント:競合ニュースの監視→要約→Slack通知
- メールの自動仕分け:受信メールを分類→適切な担当へ自動アサイン
- SEOライターBot:テーマ収集→構成作成→本文生成→配信
(作成後はチャットUI公開やAPI/Webhookとして即デプロイ可能)
押さえておきたい「強み」
- ノーコード×FigmaライクUI:非エンジニアでも素早く試作→改善
- 豊富な連携:Slack/Gmail/Notion/GitHub/DB…実務連携が数クリック
- 柔軟なデプロイ:チャット公開、REST API/Webhook化、スケジュール実行
- リアルタイム共同編集:同一フローを複数人で同時編集
- Copilot補助:自然言語からワークフロー骨子を自動生成
- オープンソース(Apache-2.0)&セルフホスト可:商用利用しやすく、コスト・データ主権に有利
sim.aiの“特徴的5要素”を深掘り
1) ミニマルで直感的なUI/UX
必要情報に集中できるシンプル設計。学習コストが低く、非エンジニアの心理的ハードルを削減。
2) 「Sim Copilot」による対話型開発
エディタ内で説明(Explain)/案内(Guide)/編集(Edit)を支援。
モード
- Ask:Q&Aとガイドのみ(ワークフローは変更しない)
- Agent:提案→承認後にブロック追加・配線・設定変更を反映
Depth Levels(推論レベル)
- Fast:最速・最安(小規模編集に)
- Auto:速度と精度のバランス(デフォルト)
- Advanced:大規模・複雑編集向け
- Behemoth:深い計画・デバッグ・大規模変更に
個人的メモ:Askモードで「分からない」を減らせるのが良い。手が止まりにくい。
3) Apache-2.0のメリット
商用利用の自由度が高く、組み込み・改変・販売まで柔軟。企業利用の安心材料に。
4) ワンクリック連携が多い
- コミュニケーション:Slack/Discord/Gmail/Telegram
- 生産性:Notion/Google Drive/Google Sheets/Airtable
- 開発:GitHub/Supabase/Pinecone/Qdrant
- Web自動化:Google Search/Firecrawl(スクレイピング)/Browser Use/Stagehand
- その他:Twilio(SMS)/ElevenLabs(音声合成)
多くは 数クリックの認証だけで接続完了。
5) ローカルLLMとの統合(Ollama対応)
Ollama を標準サポート。PC上の Llama 3/Mistral/Command R+/gpt-oss-120B などを外部API同様に組み込める。
→ 機密を外へ出さず高度なAI処理、特化モデルの活用、データ主権を実現。
sim.ai vs n8n:違いをひと目で
観点 | sim.ai | n8n |
---|---|---|
基本思想 | AIネイティブ(Agentが中心) | 自動化ネイティブ(API連携が中核) |
UI/UX | ミニマルで直感的。“AIの思考の流れ” を設計 | 設定項目が多く情報密度が高い |
連携設定 | ワンクリック接続が多い | 手動で権限・トークン設定の場面が多い |
トリガー | アプリ固有のイベントトリガーは現時点で少なめ | 豊富(「新規メール受信時」など) |
向いている用途 | AI中心の新体験の素早い試作 | 複雑業務の厳密制御を要する自動化 |
Slack連携の体験差(イメージ)
- sim.ai:設定画面でConnect → 許可 → すぐ利用。チャンネルはプルダウン選択。
- n8n:Slack App作成→権限追加→トークン生成→n8n側に貼付…と手順が多い。
なお、イベントトリガーの豊富さはn8nが現状優位。ユースケースに応じて併用や使い分けが現実的です。
実践チュートリアル
チュートリアル1【基本編】社内文書FAQボット(RAG)
目的:PDFマニュアルをアップロードし、内容に答えるチャットボットを作成。
手順(要点のみ)
-
Knowledge作成:PDFをアップロード→自動チャンキング→ベクトル化
-
ワークフロー:Start(Chat)→Knowledge→Agent→Response を接続
-
Agent設定:例)OpenAI/gpt-4o-mini
- System Prompt:
「あなたは社内マニュアルに詳しいアシスタントです。提供されたコンテキストのみに基づいて回答してください。
コンテキスト:{{knowledge.results}}
」 - User Prompt:
質問: {{start.input}}
- System Prompt:
-
テスト&公開:Runで試験→Deploy as Chat で社内公開
チュートリアル2【応用編】Copilotで“競合ニュース監視ボット”
目的:毎朝9時に検索→要約→Discordへ通知。
Copilotへの指示例
毎日午前9時に「AI 最新動向」でGoogle検索し、上位3件の内容を要約してDiscordの「最新ニュース」チャンネルに投稿するワークフローを作成してください。
生成される典型構成:Schedule → Google Search → Loop → Firecrawl → Agent → Discord
仕上げ:DiscordのWebhook/APIキーを設定→Runで確認→Deployで自動化
アーキテクチャと導入方法
技術スタック(学習にも◎)
- Next.js(App Router)/Bun
- PostgreSQL/pgvector(RAGのベクトル検索)
- shadcn UI/Tailwind CSS/React Flow(エディタ)
- Socket.io(リアルタイム)
使い方の選択肢
- クラウド版(sim.ai):アカウント作成ですぐ開始。インフラ管理不要。
- セルフホスト版:自社インフラで完全コントロール。ローカルLLM活用や厳格なセキュリティ要件に。
Self-hosted: NPM Package
Self-hosted: Docker Compose
現状の課題(把握しておきたいポイント)
- ドキュメント不足:機能追加のスピードに公式Docsが追いつかない箇所あり
- エラー原因が追いにくい:Copilotは助けになるが、原因特定が難しいケースも
- トリガーの種類:n8nと比べアプリ固有トリガーがまだ少ない
それでも筆者所感では、強みが課題を上回る。特にCopilot中心の体験はパラダイムシフト級。
結論:今、sim.aiを始めるべき?
答えは“Yes”。
- エンジニア/企画/個人事業主まで、作業スピードと品質を底上げ。
- Copilotで「分からない」を対話で解消 → “AIに作らせる”開発体験が手に入る。
- 難しい操作は不要。まずは公式サイトから触ってみて、小さく作って素早く出すのが吉。
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https://x.com/AI_masaou
用途別のおすすめ
- AI体験のプロトタイプを速く作りたい → sim.ai
- 既存業務の厳密なRPA的自動化 → n8n
- 外部SaaSを広く浅くつなぎたい → Zapier
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