個人開発 SaaS で気をつけるべき日本の法律

要約
個人開発 SaaS を運営する上で注意すべき日本の法律を 11 個ピックアップし、それぞれの概要とポイントを解説します。
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個人でもプロダクトを公開・運用できる時代。ノーコードやクラウドインフラの進化により、個人で SaaS(Software as a Service)を開発し、収益化することも珍しくなくなってきました。

しかし、サービスを提供するということは、法人と同じように法律の適用対象になるということでもあります。知らずに運営していると、炎上や停止リスクを抱えることに。

1. 個人情報保護法

ユーザーの名前・メールアドレス・IP アドレス・Cookie など、個人を特定できる情報を取り扱う場合は、個人情報保護法が適用されます。利用目的の明示、第三者提供の有無、問い合わせ窓口の設置、安全管理措置などが求められます。プライバシーポリシーの設置は必須です。

2. 景品表示法

「今だけ 50%OFF!」「国内 No.1!」といった広告表現が誇大・虚偽である場合、景品表示法に違反します。SaaS の LP やキャンペーンで過剰な煽り表現を避ける必要があります。また、割引キャンペーンの実施期間や根拠を明示することも重要です。

3. 著作権法

画像、イラスト、フォント、文章、コードなどのコンテンツを無断で使用すると著作権侵害になります。OSS(オープンソースソフトウェア)もライセンス条件を遵守する必要があります。外部素材を使う場合は商用利用可能か確認しましょう。

4. 資金決済法

SaaS 内で独自ポイントやチャージ制のウォレットなどを導入する場合、資金決済法の規制対象となります。ユーザーから前払いで金銭を預かる形になるため、登録・報告義務が発生することがあります。Stripe などの外部決済代行サービスを利用することでリスクを避けやすくなります。

5. サイバーセキュリティ基本法

この法律自体に直接的な罰則は少ないものの、国や事業者に対して情報セキュリティへの取り組みを推進する枠組みとして機能しています。実質的には、脆弱性の放置や不正アクセスによる情報漏えいが起きた場合、損害賠償や信頼失墜につながるため、セキュリティ対策は必須です。

6. 不正アクセス禁止法

ID・パスワードの不正取得、セッションの盗聴、他人アカウントへのログインなどの行為を禁止しています。逆に言えば、自身の SaaS に脆弱性があると、ユーザーが不正アクセスの被害者になる可能性も。CSRF、XSS、SQL インジェクション対策など、基礎的なセキュリティ対策を実装しておきましょう。

7. 特定商取引法

有料プランやサブスクリプションを提供する SaaS では、「特定商取引法に基づく表記」が必要です。事業者名・住所・連絡先・解約ポリシーなどを記載したページを設けなければなりません。個人で運営する場合でも、住所を出す必要があるため、バーチャルオフィスを活用するケースもあります。

8. 消費税法

SaaS が売上を上げて年間 1,000 万円を超えると、課税事業者となり消費税の納税義務が発生します。2023 年からはインボイス制度も始まり、請求書の発行に関するルールも強化されました。最初は免税事業者でも、売上が伸びてきたら税務面にも目を向ける必要があります。

9. 電子契約法

オンラインでユーザーに対して契約を結ぶ際、意思表示を明確にする必要があります。利用規約や料金プランへの同意を画面上で明示的に取得する UI(例:チェックボックス)は、法律上の有効な契約として扱われます。「同意したことになっている」設計ではトラブルになるリスクがあります。

10. 名誉毀損・侮辱罪

ユーザー投稿機能がある SaaS では、投稿内容が他人の名誉を傷つけるリスクがあります。サービス提供者として削除請求対応などの体制も求められます。特に掲示板やレビュー機能を提供する場合は注意が必要です。

11. プロバイダ責任制限法

誹謗中傷や著作権侵害など、ユーザーの投稿が第三者の権利を侵害した場合に関係する法律です。投稿が問題視された場合、運営者に削除請求が来ることもあります。適切な通報窓口や削除対応のフローを設けておくことが望ましいです。

おわりに

個人開発であっても、サービスを提供する以上は法律の適用対象になります。「知らなかった」では済まされない場面も多く、トラブルを未然に防ぐには基本的な法律知識が不可欠です。

すべてを完璧に理解し対応するのは難しくても、まずは「どんなリスクがあるか」を知ることがスタートラインです。必要に応じて専門家への相談も検討しながら、安心してサービスを育てていきましょう。

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