プロダクト開発に、「怠惰設計」を採用するべきだよって話

要約
AIを使った課題解決が容易になる昨今、既存の作業をいかに楽にするワークフローを考えるかについて、私が提唱する「怠惰設計」を採用すべき理由について書いていきます
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怠惰設計という考え方を個人開発界隈に流行らせたい昨今ですが、個人開発の発信をしている SaaS飯 さんが言い続けているDon’t Work!の思想とほんの少しだけ似ている気がします。

さて、怠惰設計とはなんなのか、そしてそれをどのようにプロダクト開発に活かしているかを私が開発 / 運営をしている 「note booster」での例を元に解説していきます。

結論
「怠惰設計」とは、既存のユーザーフローの最初と最後だけを抜き出すことを意識した「なにもしたくない」ベースの作業改善の考え方で、筆者の造語です。

note boosterとは

note boosterとは、note.com の非公式3rdパーティーツールとして「noteの創作を楽しく続けることができるためのツール」です。

主な機能は3つ

  • フォロワー数傾向 / 記事別分析などの閲覧数分析 / タグ機能
  • いいねくれた人分析

そして今回実装をした

  • 記事紹介用SNS投稿生成機能

今回はその「記事紹介用SNS投稿生成機能」がどのような背景で開発され、どのような意図で、「怠惰設計」を実現したのかについて解説していきます。

開発した機能

開発した機能は、文字通り「note記事の紹介をするSNS用の投稿文章を生成してくれる機能」となります。
こちらに動画を貼りますが、このように宣伝したい記事のURLを入力するだけで、20秒以内に複数パターンの投稿を投稿完了までできる機能です。

https://twitter.com/2timesbottle/status/1946524194763915772

思考の流れ

基本的に、私が勝手に言い続けている「怠惰設計」というのは、やりたくないけどやったほうがいい作業の「目的を明らか」にして、当たり前とされている「やることリスト」を洗い出してから、自分の「許容範囲の作業量」の最低限を定義して、「なるべくやることリストの最初と最後だけを抽出する」ということになります。

今回の機能では具体的には以下のようになりました。


今回の目的は、書いたnote記事の紹介投稿

当たり前とされている「やることリスト
・記事を書いて、公開をする
・その記事を読みたくなるような投稿文を考える
・悩みながら、SNSへ投稿をする
・noteのページに行き、まずタイトルをコピーする
・連なる投稿にペーストする
・noteのページに戻り、URLをコピーする
・続いて、投稿にペーストする
・投稿ボタンを押す
自分の許容範囲の作業量
・1投稿あたり20秒以下

できるだけ最初と最後だけ抜き出す
・noteを書いて、公開をする
・ペーストをする
・投稿ボタンを押す


どのように最初と最後だけ抜き出すか

まず考えたこととしては、記事は書かなければ始まりませんからこれは最初に該当します。
そして、投稿されている状態が最後に該当します。

しかし、投稿されている状態までを自動でやるとなるとXのAPIを使ったりしてめんどくさいことになるため、人間にやらせることにしました。

人間にやらせるとすると、人間にXを開かせて、投稿ボタンを押すことでしょうか?

いいえ、違います。

人間の役割は、ペーストボタンを押すこと、投稿ボタンを押すことです。

これが最後です。

つまりシステム上での最後は「その直前」と定義をしました。

つまり、ユーザーはボタンを押すと

  1. 自動でXやThreadsのアプリが開き
  2. そこにはすでに投稿したい宣伝文が入力されていて
  3. デバイスのクリップボードには次にペーストをしたい、「記事のタイトル」と「URL」があり、ユーザーはペーストをするだけ

という状態です。

そうしてその通りに実装をした結果、既存のユーザーの方からかなり嬉しい反響をいただくことができました。

https://twitter.com/komitsu0425/status/1946832021764153532

https://twitter.com/FES_note/status/1946514530655420692

どうして怠惰設計を採用するといいの?

人間は怠惰ですから、なるべく何も考えたくないというのがベースかと思っています。その怠惰性を起点にUX、ユーザーの操作フローを整備、設計、再構築することで、すでに誰もが「めんどくさいけど、やらないといけないからやっている」ことを改善することができ、それがプロダクトとして出せるようになるかと思っています。

既存の誰もがやっていることを、なぜやるのかという「目的」に立ち返り、「最終アウトプット」はなんなのか、と言う視点で様々なものを観察すると、個人開発に活かせるのではないかと思いました。

また日常、自分が何気なくやていることも、一旦立ち止まって「なぜやっているのか」と自分に問い直すことで、普段の作業が劇的に改善するきっかけになると思います。

まとめ

私は普段、生成AIを使う案件のPMとして日中働いていて、どんな情報をAIへinputし、どんな情報をoutputさせることで最も効果が高くなるかを考えて要件定義・検証しています。 その知見を個人開発でも活かせるのでは?と思い投稿をしました。

適切な「最初と最後」を定義するには、例えばXのAPIはお金もかかるしめんどくさい、とか、XやThreadsは開いた瞬間に文字をあらかじめ入力することができる、とか、ボタンをクリックすると自動で、指定した文字をコピー済みの状態にできるとか、そのような「なにができるか」の知識は慣れの問題になってしまうかと思いますが、私自身、慣れていない技術や外部ツールはChatGPTと相談をしたり、実際に操作をしながら、なにができてなにができないかを認識しておき、いざ!というときに機能に組み合わせて導入しています。

この「どのAPI、どのツールは、なにができて、なにができないか」は常に遊びでいろんな新しいツールを使ってみたり、遊んでみる中で見つかると思いますので、ぜひ試してみていただけると幸いです。

ちなみに、jina.ai を知っておくだけで個人開発の幅が広がるかと思いますので、最後におすすめをしておきます。

最後までありがとうございました。


怠惰設計の探求のアウトプットをするメンバーシップをしています。

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