『Today!!』リリース戦記:1ヶ月のデータが証明した、便利さと収益性のジレンマ

要約
1. 2週間で開発した時計型スケジュールアプリ『Today!!』がXでプチバズ 2. 「便利すぎて開かれない」という、ウィジェット実装が招いた意外な誤算 3. 広告収益モデルからサブスクモデルへ舵を切ったリアルな運用1ヶ月の記録
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『Today!!』リリース戦記:1ヶ月のデータが証明した、便利さと収益性のジレンマ

個人開発でモバイルアプリを作り始めて、ちょうど1年が経ちました。
この1年間、試行錯誤を繰り返してきましたが、先日リリースした最新作が幸いにも X(旧 Twitter)で多くの方に反応をいただき、いわゆる「プチバズ」の状態になりました。

https://twitter.com/YoRuHub/status/1984431422959169848?s=20

画面越しに数字が伸びていくのを見て胸が躍ったのは事実ですが、お祭りが落ち着いてくると、勢いだけでは解決しないリアルな現実も見えてきました。
本記事では、リリースから1ヶ月の間に感じた期待と、その後に訪れた冷静な振り返りを備忘録として残します。


開発経緯:既存のアプリに埋もれない「一手」を

これまでは3ヶ月ほどかけてじっくり作るスタイルが続いていたので、「たまには2週間くらいで形にできるシンプルなものを作ろう」と思い立ったのがきっかけです。

TODO やカレンダーといった定番のテーマは、普通に作っただけでは既存の優れたアプリの中に埋もれてしまいます。
「自分なりに何か一つだけ、独自性を足せないか」と考えたとき、ふと「時計」と「予定」が結びつきました。

■ コンセプト
時計の盤面にそのままスケジュールが乗っていれば、直感的に残り時間がわかるはず。

そうして生まれたのが、24時間時計型のスケジュールアプリ 『Today!!』 です。


最小構成でのリリース

アプリ開発をしていると、つい機能を詰め込みたくなりますが、最近は「ユーザーを迷わせない」ことを最優先に考えるようになりました。

  • 引き算の設計:「これだけは伝えたい」というコア機能だけに絞る。
  • ユーザーと共に育てる:最初から完成形を目指さず、届いた声に応えながらアップデートしていく。

この進め方のほうが、結果として長く愛されるアプリになるのではないか、と考えています。


期待と現実:バズの後の「シビアな数字」

バズった直後は、まさに「お祭り」状態でした。今までで一番の勢いで、App Store のランキングにも載ることができました。

■ リリース初動(1ヶ月)のデータ

項目実績値
App Store インプレッション9,000以上
累計ダウンロード数655 DL
App Store ランキングランクイン達成
App Store のデータ

https://twitter.com/YoRuHub/status/1985703282103513139?s=20

「このまま右肩上がりで成長するかも……」と淡い期待を抱いていましたが、現実はシビアでした。
爆発的な流入は3日ほどで落ち着き、ランキングは一気に圏外へ。目に見えて減っていくアクティブユーザーの数字を眺めながら、「継続してもらうことの難しさ」を痛感しました。

誤算:便利にしすぎて「開かれないアプリ」へ

今回の開発で一番の誤算であり、大きな学びだったのが、ホーム画面ウィジェットとカレンダー自動同期の実装です。

「これ、絶対みんな欲しいよね」と意気込んで作ったのですが、これが裏目に出て、アクティブユーザーを減らす決定打になってしまいました。

  • 理想:アプリを開かなくても予定がわかる。最高に便利。
  • 現実:アプリを開く理由がなくなってしまった。

ツールとしては正解なのですが、アプリ運営としては「起動されない」というジレンマ。実際にデータとして突きつけられるまで、この矛盾には気づけませんでした。

救いだったこと
アップデートのたびに約250人ほどの方が確実に更新してくれています。
「毎日開きはしないけど、スマホの片隅に置いてくれている」。
生活の一部に潜り込めたのなら、作った身としては「結果オーライ」と前向きに捉えています。

収益化の反省:後手に回ったサブスク設計

当初は広告収益のみを想定していましたが、「開かれないアプリ」に広告は無力でした。

  • 直面した課題:アクティブ率が下がると、広告露出が極端に減る。
  • 迅速な判断:急遽「音声入力」や「デバイス間同期」を追加し、サブスクプランを構築。

「シンプルさ」と「収益性」の両立。
最初からこの出口を想定して設計しておくべきだったというのが、リリースから1ヶ月経った今の率直な反省です。

これからの『Today!!』

この1ヶ月間の試行錯誤を経て、一つ確信したのは「シンプルで利便性がある」という方向性自体は間違っていないということです。

今後のアップデートでは、むやみに機能を増やしません。
「時計に予定を表示する」というコア体験を磨くために、見た目のカスタマイズ性や、使い心地の改善に注力しようと思います。

「あれもこれもできる」ではなく、「これだけは、どのアプリより使いやすい」。
そんな一歩先を目指して、また一歩ずつコードを書いていきます。

Build-in-public(公開開発)は賛否両論ありますが、無名の個人開発者が広告費を使わずここまで多くの方に届けられたのは、このスタイルのおかげです。挑戦して本当によかったと思います。

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