Antigravity、君は最高だけど…時々、野生に帰るよね。

要約
「日本語で!」と叫んでも英語で返すAntigravity。 AntigravitのアンチにならないようCustomizationsの仕様を整理しながら、優先度の仕組みやコンテンツの書き方を試行錯誤。物忘れの激しい天才を最高の相棒に変えるべく、現在進行形の検証メモです
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はじめに

Google Antigravity、皆さん使い倒していますか?
僕は紆余曲折を経て、今は Antigravity にどっぷり落ち着いています。

理由はシンプル。
「そこそこの実装力」×「豊富なリミット」×「お財布に優しい月額」 この三拍子が揃ったら、もう浮気なんてできません。

...でも、一つだけ...悩みがあるんです。
それは、「Cursor ほどお利口にルールを守ってくれない」こと。

皆さんも、こんな経験ありませんか?

  • 「日本語で」って言ったのに、突然流暢な英語でまくし立ててくる
  • 「その書き方は禁止!」と叫んだ10秒後に、同じ書き方で納品してくる
  • 編集に失敗してエラーまみれなのに、「完了しました(ドヤッ)」と報告してくる

「前も言ったよね、ルール守れないの?」と画面にツッコミを入れる日々。
今回は、この「ちょっと物忘れの激しい天才」を更生させるべく、僕が試行錯誤しているメモとなります。

制御の鍵「Customizations」の構造

Antigravity を制御する Customizations には、設定場所(Global/Workspace)と設定内容(Rules/Workflows)の組み合わせで4つの顔があります。

ここで重要なのは、これらが対等ではないということです。彼らの中には明確な
ヒエラルキー(優先順位)」が存在します。

ルール強制力のピラミッド

Antigravity の行動原理は、驚くほど「中央集権的」です。
公式ドキュメントや検証結果から推測されるパワーバランスは以下の通り。

優先度設定タイプ性質イメージ
0Core PoliciesGoogle による安全・基本原則国の「憲法(絶対不可侵)」
1Global-Rulesユーザー全体の共通規約企業の「全社規定(Workspace を凌駕)」
2Workspace-Rulesプロジェクト独自の規約部署ごとの「ローカルルール」
3Global-Workflows共通のタスク手順社内標準の「作業マニュアル」
4Workspace-Workflows個別タスクの直接指示現場での「作業指示書」

ご覧の通り、Global(全体設定)が Workspace(個別設定)を上書きする設計になっています。
つまり、「このプロジェクトだけは日本語で」と Workspace でどれだけ叫んでも、上位の Global 側に「標準は英語」といった強いニュアンスが残っていれば、現場の訴えはあっさり黙殺されます。

「Rules」と「Workflows」の決定的な違い

そもそも、この2つは AI への「届き方」が根本的に違います。

  • Rules:
    AI の「OS」や「性格」を定義するシステム・インストラクションです。常に背後で流れている「空気」のような存在ですが、階層が高いため、ここで矛盾が生じると AI は深刻な混乱に陥ります。
  • Workflows:
    特定の / コマンドで発動する「具体的なタスク命令」です。AI の注意(Attention)を一時的に強く引きますが、本質的には Rules という絶対的な土俵の上で踊っているに過ぎません。

なぜ「日本語ルール」はあっさり無視されるのか?

ここには、設定の階層だけでは説明がつかない「2つの見えない壁」が存在します。

1. 内部的な「英語バイアス」の壁

Antigravity(Gemini)は多言語を理解しますが、その思考のコアは英語ベースで最適化されています。
特に「命令を絶対に守る」というタスクにおいて、日本語での指示は英語に比べて「解釈の揺れ」が生じやすく、優先度の低い「付加情報」として切り捨てられる傾向があります。つまり、日本語で書くこと自体が、AI にとっての「ルールの強制力」を弱めてしまう要因になり得るのです。

2. Core Policy という絶対君主

僕たちが触れる設定よりさらに深い場所に、Google が定義した「AI としての基本行動原則(Core Policy)」が潜んでいます。
ここに「回答は常に標準的かつ汎用的な形式で行う」といった指示がある場合、末端の Workspace で「日本語で!」と叫んでも、AI は「憲法(Core Policy)」を優先し、最も安定した出力言語である英語に回帰してしまいます。

結論:本丸(Global Rules)を「英語」で統治せよ

この物忘れの激しい天才を、こちらの土俵に引き止めるための最も効率的なアプローチ。
それは、「最も高い階層(Global Rules)に、彼らの母国語(英語)で『Respond in Japanese』と刻み込むこと」です。

もちろん、Workspace で日本語を使ってはいけない、ということではありません。
ただ、言語設定のような「絶対に譲れない根幹のルール」については、下位の Workspace で都度お願いするよりも、上位の Global で強制力を高めておく方が、AI の注意力が散漫にならずに済みます。

イメージとしてはこんな使い分けです:

Global Rules (in English)

AI に絶対的なルールを強いる英語命令です。

  • Always respond in Japanese.(常に日本語で返せ)
  • Be concise and direct.(簡潔に答えろ)
  • Do not apologize.(謝罪するな)

Workspace Rules (in Japanese)

こちらは現場レベルの具体的なディレクション。馴染みのある日本語で OK です。

  • 「このプロジェクトでは Riverpod を使用して状態管理を行うこと」
  • 「スネークケースではなくキャメルケースを徹底すること」

具体的な設定

Antigravity の Customizations は、JSON ではなく Markdown(.md)ファイル で記述します。
それぞれのファイルは以下の形式で作成し、適切なディレクトリに配置することで機能します。

1. Global Rules

配置場所: ~/.gemini/GEMINI.md

Global Rules には設定用の UI メニューが存在しません。
そのため、AI に対して「常時有効なルール」であることを明示するには、ファイル冒頭に属性を直接記述する必要があります。

2. Workspace Rules

配置場所: .agent/rules/coding-rule.md
UI 上の Activation Mode でモードが選べます

モード名定義Frontmatter (記述例)
Always On常に適用されるルール。AI の基本動作の固定に最適。activation: always_on
Manualユーザーがチャット内で指定した時のみ適用される。activation: manual
Model DecisionAI が必要と判断した時のみ参照される。コンテキスト節約に有効。activation: model_decision
Glob特定のファイル形式(拡張子等)のみに適用される。activation: Glob``glob_pattern: "*.dart"

一応 Content にも同じ Mode に書き換えてください。(少し効果あるらしい)

3. Global Workflows

配置場所: ~/.gemini/workflows/

どのプロジェクトでも "/コマンド" で呼び出せる汎用的なタスク手順です。 「この書き方は全てのコードで共通」というリファクタリングルールや、README 生成などをここに置いておくと、プロジェクトごとに Workflow を作り直す必要がなくなります。 ※Workflows はコマンド起動型のため、Activation Mode の設定は不要です。

4. Workspace Workflows

配置場所: .agent/workflows/refactor-ui.md

そのプロジェクト独自の技術スタックに依存する手順です。 Workflows は / コマンドで呼び出す「手順書」です。 Rules とは異なり、Activation Mode の UI 項目および activation プロパティは存在しません

最後に

公式ドキュメントにも特に書いていないので正解はわかりません。
果たして彼を最高の相棒に変える決定打になるのか。期待と不安を混ぜつつ、現在も絶賛検証中です。

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