

⚫︎比較ツールをもっと身近に
「PDF を視覚的に比較したい」
そんなニーズは現場で確実にあるのに、使いやすいツールがない。
私がこのソフトを作ろうと思ったのは、そんなモヤモヤがきっかけでした。
⚫︎市販ソフトは高価で個人で買うのは困難
PDF の差分を視覚的に比較できる市販ソフトはいくつか存在しますが、どれもなかなかのお値段。
実際に体験版を使ったことがありますが、製品版はなかなか手の出しにくい価格設定。
会社に導入を提案しても、
「PDF は無料で見られれば十分」
「そこにお金をかける必要ある?」
という反応が多く、話は進みません。
⚫︎設計現場では“差分比較”が不可欠
とはいえ、図面を扱う業務では「新旧図の比較」が不可避。
数百枚の図面を、目視で一つずつチェックするのは現実的ではなく、膨大な時間と集中力が必要。
さらに、自分が修正した箇所をマーキングしながら資料を作成するのも手間がかかる。
この非効率をどうにかできないか。
そこで「PDF 比較ツールを自作しよう」と決意しました。
⚫︎シンプルさ最優先
開発にあたって大事にしたのは「シンプルさ」。
高機能=使いやすい、とは限らない。
特に設計現場では、年齢層も経験値もバラバラなので「一発で比較できる」くらい直感的な操作性が必要。
そこで、ソフト起動 → ファイル選択 → 差分表示までを最小限のクリックで完了するように設計。
複雑な設定やチュートリアル不要で、誰でもすぐに使えるようにしました。
⚫︎技術的な工夫と現場目線の機能
このソフトは単なる「文字の違い」ではなく、「図面そのものの差分」を比較します。
AutoCAD の「COMPARE」コマンドのように、変更箇所を色で分かりやすく表示することを重視して設計。
差分を表示する色もユーザーが自由に設定できるようにしました。
「変更前は青、変更後は赤」「変更前は緑、変更後はオレンジ」のように、見やすい色にカスタマイズできるため、環境や好みに合わせた比較が可能。
シンプルな機能の中にも、設定の柔軟性を取り入れました。
また、A3と A1のように異なる用紙サイズでもズレなく比較できるよう、リサイズ処理を自動化しました。

⚫︎販売方法の選定
開発が進んだあとに悩んだのが「どうやって提供するか」。
以下の条件を満たす方法を模索しました。
- ネット認証不要 → オフライン環境でもすぐ使える
- インストール不要 → セキュリティリスクを減らす
- SNS のみで宣伝するので匿名発送可
- 職場と自宅で併用可
現在は USB メモリに入れ、匿名発送できる仕組みで販売中。
(USB が使えない職場のために、別の方法も検討中。)
⚫︎現場で役立つツールを目指して
このソフトは、最初は自分自身の業務を楽にするために開発していました。
しかし試作が進むにつれて「これはもっと多くの人に役立つのでは?」
という手応えを感じるようになりました。
だからこそあえて、多機能よりも使いやすさを最優先にしました。
⚫︎今後の展望
「Hikaku PDF-Fast」は、これからもユーザーの声を取り入れながら、改良を重ねていく予定です。
「比較ツールをもっと身近に」というコンセプトの元、現場の作業効率を改善できるように取り組んでいきたいと思っています。