
はじめに:
生成AIの登場によって容易に開発ができるようになったので、個人開発者でも大手に負けないのでは、という話題で盛り上がることがあります。
そして、それは主に技術の話であるように見えます。
どんなフレームワークを使ったか、どのライブラリが便利か、パフォーマンス改善、デプロイ環境……
一方で、どんなビジネス設計で収益を測るか?という話があまりないように思います。
私は大手に勝ちたいなら、まずは個人開発者同士で助け合ってビジネス設計を語り合うべきではないか…と考えます。
この記事では、僕自身が考案・運用している「一極集中広告方式」という設計パターンを紹介しつつ、なぜ今、ビジネス設計を語り合う場が必要なのかを提案してみたいと思います。
Xの収益モデルに見る「設計のアンチパターン」
まず、わかりやすい例としてX(旧Twitter)の収益モデルを見てみましょう。
Xは広告収入を得る一方で、広告を非表示にする有料サブスクリプションプランを提供しています。よくある「広告非表示プラン」です。
一見、自然な設計に見えますが、よく考えると構造的に矛盾を抱えています。
有料サブスクが払えるような経済的に余裕のある人 → 広告を見ない
無料ユーザー(≒購買力がない可能性が高い人) → 広告を見せられる
つまり、広告を通じたマーケティングの本来のターゲットに広告が届かず、効率の悪い構造になっています。
これはいわゆる「アンチパターン」です。

このような設計が「当たり前」になっている現代において、私たち個人開発者がもっと良い設計を試行錯誤し、議論し、共有していくことには意味があると思います。
「一極集中広告方式」という設計
こうした問題意識から、私が開発した設計が「一極集中広告方式」です。
詳細はすでにある記事がありますので、それを見ていただくとして、ここで簡単に説明すると、広告を表示する専用の1ページを用意し、通常ページには、その広告ページへのリンク(私は「ブリッジ」と呼んでいます)を設置する、というものです。
技術には「デザインパターン」がある。ビジネスにもあるはずだ
エンジニアなら誰しも、「デザインパターン」や「アンチパターン」という概念に触れたことがあると思います。
Factory パターン、Observer パターン、SQL アンチパターン……
設計思想を名前で呼び、共有し、議論することで、より良いコードが書けるようになる。これはエンジニアリングの文化として根付いています。
では、ビジネス設計にはなぜそれがないのでしょうか?
実は、ビジネスにもパターンはあります。ただ名前がついていないだけで、「広告型」「サブスク型」「フリーミアム型」「従量課金型」……と、いろいろ存在します。
でも、それらを構造的に分析したり、新しい形に落とし込んだりする文化が、Googleのような世界的な企業にでさえ、まだ弱いと思います。
逆の視点から言うと、すぐれたパターンを開発しいち早く採用すれば、個人開発者でも大手に勝てる可能性が出てくる、ということです。
私は個人開発者の皆様に勝ってほしい。
だから、「一極集中広告方式」のような「ビジネス設計パターン」の発想や再発明が個人開発の文化から出てくることを願っています。
AIと設計:小さな開発者が、大手を超える道
今の時代、ChatGPTなどのAIを活用すれば、ビジネス設計のアイデアを生成したり、構造をシミュレーションしたりすることも十分に可能です。
実際、僕も「この設計にどんな問題があるか」「収益構造のバランスはどうか」といったことをAIに問いかけて、補助的に思考を広げるような使い方をしています。
人間の発想力 × AIによる補完 × 実践による検証。
これがあれば、資本や人員で圧倒的に勝る大手に対しても、「設計の質」で戦える余地があると本気で思っています。
語り合う場は「つぐもん掲示板」はいかがですか?
では、そうしたビジネス設計の話を語り合う場所はあるのか?
技術的な情報はizanami.devでもできますが、ビジネス設計について深く語れる場は極めて少ないと感じています。
そこで私が開発・運用している「つぐもん掲示板」はいかがでしょう?
既に「一極集中広告方式」についての記事がありますし、他の人のアイデアを見たり、コメントしたりすることもできます。
おわりに:設計力は、個人開発者の最大の武器になる
設計とは、ただの「収益モデル」や「マネタイズ手法」ではありません。
思想であり、構造であり、生存戦略です。
そしてその設計力は、個人開発者にとって最大の武器になり得ます。
私たちは大手と戦うために広告費を積むことも、巨大な組織を持つこともできない。
でも、優れた設計を発明することなら、今日からでもできます。
その最初の一歩が、「語ること」です。
「この設計、どう思う?」
「こんな方式はどう?」
「このモデルに抜け穴はある?」
そんな会話が日常的に生まれる文化をつくっていきたい。
そのために、ぜひ一緒に考えてみませんか?