
お読みいただきありがとうございます!
私は、「ポイント案内所」という 「身近なお店のおトクがわかるウォレットアプリ」 を個人で開発しています。
2025年1月にリリースし、もうすぐ6ヶ月という一つの節目になりそうなので、今までやってきた施策を振り返る意味も込めて、皆さんの役に立ちそうなことをまとめてここに書いてみます。
🤔 そもそも、「ポイント案内所」ってなんやねん
身近なお店、例えば「セブンイレブン」「サイゼリヤ」「すき家」などなど、全国400チェーン以上(2025年6月末時点)のおトクがわかるアプリです。

ただ単に、「このクレカがおトク」などと紹介するわけではなく、ユーザーがあらかじめ「ウォレット」に登録した決済方法のなかから、そのお店で最も還元率が高い決済方法を提案したり、お店でどんなポイントが貯まるのかもまとめており、それぞれの項目をタップすると、対象のアプリが起動して店員さんに提示することもできます。
自分自身や、アルバイトでレジ打ちをしているときに時折みかける「ポイントアプリがなかなか見つからなくて、レジの前でスマホのホーム画面をワチャワチャしているお客様」の課題を解決できないかな、と思って作り始めました。
アプリの詳細は、ポイント案内所公式サイト をぜひご覧ください!
🧩 個人開発の3要素「開発」「運営」「マーケティング」
個人開発において必要になる要素って、皆さんはどんなものを想像しますか?
私は「開発」「運営」「マーケティング」が絶対に必要だと思っています。
ここからは、それぞれの要素に対して私が思っていることや実際に行った施策について書いていきます。
一部の方にはグサッと刺さる内容もあるかも知れませんが、あくまで個人の見解を書いているだけなのでお許しください。
🛠️ 「開発」
2025年1月にリリースした「ポイント案内所」。開発は2024年12月ごろから始まりました。その頃から変わらずに大切にしている3つのことがあります。
- 自分が本当に「使いやすい」と思えるものをつくる。
- 無意味に個人情報を集める設計にしない。
「個人開発」の身の程を知り、リスクマネジメントをしっかりする。 - AIに頼りすぎない。泥臭い作業から本当に価値のある情報・アプリが生まれる。
それぞれ、順番に説明していきます。
🎯 自分が本当に「使いやすい」と思えるものをつくる
他の方もよく述べられていると思いますが、やっぱり継続して開発していくならこれが最も重要なことだと思っています。なぜなら、個人開発者こそが、そのプロダクトの最初の、そして最もヘビーなユーザーであるべきだからです。
「ポイント案内所」の開発のきっかけは、私自身がレジ前で「あれ、このお店で一番おトクな支払い方法って何だっけ…?」と悩んだり、アルバイト先でお客様がスマホの画面をワチャワチャとスワイプしてポイントアプリを探している姿を見たりした実体験にあります。
だからこそ、UI/UXの設計においては、
- 「レジ前の焦った状況でも、迷わず2~3タップで目的の情報を表示したり、アプリを起動したりできるか?」
- 「どうすれば、このアプリに面倒に感じないか?」
といった点を、自分自身がユーザーとして何度も何度もシミュレーションし、少しでも「うーん…」と感じる部分があれば、ためらわずに設計をやり直しました。
最近でも、使いやすさの向上を目的としてホーム画面のデザインを見直しました。
この「自分ごと化」こそが、ユーザーにとって本当に価値のある「使いやすさ」に繋がると信じています。
🛡️ リスクマネジメント
これは、個人開発でリリースされるすべてのアプリに当てはまる内容です。SNS等で個人開発されたアプリを見ると、ユーザーにアカウントの作成を強制させているものも見かけますが、果たしてそれは本当に必要でしょうか?
企業が作るアプリのような潤沢な資金や人員がない個人開発だからこそ、セキュリティや個人情報の取り扱いには最大限の注意を払う必要があります。万が一、個人情報(ここでは個人情報保護法に定義されるものだけでなく、メールアドレスやパスワードなども含みます)を漏洩させた場合、その責任は個人で負うことができる範疇を大幅に超えることは容易に想像できます。
そこで「ポイント案内所」では、開発初期から 「余計な個人情報は一切お預かりしない」 というルールを徹底しています。単純に、個人情報を集める必要も意味もないからです。集めるにしても、Google Analyticsなどによる、匿名の利用状況等の収集に留めるべきだと思っています。
なので、会員登録は不要としており、メールアドレスやパスワードを登録する必要はありません。ついでに、アプリをダウンロードしてすぐに使い始められることで、ストレスなくアプリの利用を開始してもらうができるという副次的効果もあります。
ユーザーがアプリに登録するのは、あくまで「自分がどの決済手段を持っているか」という情報だけであり、それも端末内にのみ保存される設計にしています。万が一の事態が起きても、ユーザー・運営双方に直接影響が及ぶリスクをゼロに近づける。これは、ユーザー・運営双方が安心してアプリを利用・運営するための、個人開発者としての 「身の程を知る」リスクマネジメント だと考えています。
また、むやみにアプリ内で他社様のアイコン(例えば、「PayPay」のロゴなど)を使用せずに、各社サービスのブランドカラーを表示しているのも、リスクマネジメントの一つです。
✍️ AIに頼りすぎない
昨今、なんでも生成AIにやらせればいい、という風潮がある気がします。
しかし、「ポイント案内所」が扱う「おトク情報」という非常に繊細で、かつ頻繁に更新される情報においては、AIに100%依存することは逆にリスクになると考えましたし、実際に正しく情報を収集できないことを確認しています。
AIによる自動収集は、誤った情報や古い情報を拾ってしまう可能性があるわけです。
例えば、「Aという決済方法で10%還元」というキャンペーン情報が、既に終了しているにも関わらず表示され続けてしまったら、ユーザーの信頼を大きく損ないます。(実は、大学の卒論でこれをどうにかしようという研究をしていますが、どうなることやら...。)
だからこそ、アプリに掲載しているそれぞれのチェーン店の情報や各決済方法のおトク情報は、公式サイトのリリースを一つひとつ確認し、自分の目で確かめるという、非常に泥臭い方法で更新しています。時には、実際に店舗へ足を運んで確認することもあります。
また、コーディングにおいても同様のことが言えます。
昨今話題の、AIに自動でコーディングをさせる 「Vibe Coding」 のような手法の利用は、特に慎重になるべきだと考えています。
AIが生成したコードは一見すると正しく動作するように見えるかもしれませんが、その内部ロジックを開発者自身が完全に把握できていなければ、アプリ内で予期せぬ問題が発生した際に原因を特定し、責任を持って修正することが困難になるからです。
特に、「ポイント案内所」のようなユーザーの金銭的利益に直接関わるようなアプリでは、より慎重になるべきだと考えており、開発効率化のために「GitHub Copilot」を使いはしますが、部分的な使用(コード補完等) にとどめ、その生成されたコードも慎重に確認したうえで使用しています。
この一見非効率にも思える「手作業」と、できるだけ自らの手でコードを書き、その一行一行に責任を持つという姿勢こそが、情報の正確性を担保し、「ポイント案内所」ならではの価値を生み出していると、私は思っています。
🤝 「運営」
運営にあたり大切にしていることはただ1つです。
「ユーザーの声にしっかりと耳を傾ける。」
これにつきます。
具体的には、ユーザーのフィードバックに寄り添い、それを実際にアプリ等に反映するという、当たり前の作業を常にし続けることです。
「ポイント案内所」では、アプリ内の各所に「お問い合わせ」へのリンクを配置し、ユーザーがフィードバックを送りやすい環境を整えているほか、X(旧Twitter)のDM、App Store/Google Playのレビューなどを常にチェックしています。
リリース当初は掲載チェーンも少なかったのですが、
- 「〇〇(お店)を追加してほしいです!」
- 「この支払い方法にも対応できますか?」
といった具体的なご要望を様々いただき、対応してきました。
もちろん、すべての要望にすぐお応えできるわけではありません。
しかし、いただいたご要望はすべてリスト化し、優先順位をつけ、対応可能なものから真摯に、そして迅速にアップデートに反映させてきました。追加が難しい場合でも、なぜ難しいのかを正直にお伝えすることもあります。
この地道なコミュニケーションと改善の積み重ねが、ユーザーからの信頼を得て、アプリを成長させる唯一の道だと信じています。
📣 「マーケティング」
個人開発において、開発と同じくらい、いや、もしかしたらそれ以上に難しいのが「マーケティング」です。
これに苦しんでいる方も多いと思います。
どれだけ良いものを作っても、知ってもらえなければ存在しないのと同じだからです。
そうはいっても、個人開発者がSNSやらASOやらSEOやら、対策したところでたかが知れています。
時間もかかりますし、あまりにも割に合いません。
それに皆さんそんなに暇ではないでしょう。
学校や仕事など、他にもやることがたくさんあるでしょう。
あと、これに陥っている人がいる気がするので書いておきますが、個人開発者は超少数派。
この少数のなかに、あなたのプロダクトを真に求めているユーザーは何人いるでしょうか。
個人開発者のコミュニティーの中で宣伝しているだけでは、認知拡大には繋がりません。
izanamiでこんなこと言うのもなんですが、solomakerやizanamiやXのコミュニティーなどの個人開発者向けプラットフォームでごちゃごちゃやったところで、よほどその人に刺さるものでない限りは、数人の個人開発者がテキトーにダウンロードして、テキトーに使って、テキトーにアンストされて終わりです。下手すると、ダウンロードどころか「いいね」もゼロです。
これらのプラットフォームは 「認知を拡大する」 という点においては現時点では全くと言っていいほど無力です。
個人開発者のコミュニティにのめり込みすぎないように気をつけましょう。
「認知を拡大する」という点においてはあまり役に立たないという事実を述べているだけであり、そういったプラットフォームやコミュニティー等をディスっているわけではありません。また、私自身もこういったプラットフォームがあることが開発の一助になっていると思っています。
じゃあ、我々はどうすればいいのか。
断言します。
世の中結局、金(カネ)です。金。
金を使って広告を打ちましょう。
「ここまで読んで、結局カネかよ。」 と思ってがっかりしましたか?
でも、日本は資本主義の社会。つまり金がモノを言う世界なんだから、我々もその土俵に上がるんです。
「個人開発だから広告なんて無理」というのは、もはや思考停止です。SNS等での地道な発信やASO・SEO対策はもちろん大事ではありますが、それらはあくまで「待ち」の姿勢。誰かが見つけてくれるのを祈るようなものです。本気でユーザーを獲りに行くなら、我々も 「攻め」のマーケティング、すなわち「広告」 を打つべきです。
🌱 広告は「消費」ではなく「投資」である
アプリ開発に費やしたあなたの時間は、タダではありません。その膨大な時間と労力というコストを回収し、さらにアプリを成長させるための起爆剤が「広告」です。広告費は、垂れ流す「消費」ではなく、未来のユーザーと収益を生み出すための 「投資」 なのです。
誰にも使われず、ストアの奥底に沈んでいくことこそが最大のリスクです。そのリスクを回避するためなら、広告は決して高い買い物ではありません。
🧠 個人開発者のための「賢い広告戦略」
もちろん、大企業のように湯水のごとく広告費を使えるわけはありません。だからこそ、我々は「賢く」広告を出す必要があります。
1. まずは最低限使える段階までアプリを作る
当たり前ですが、未完成の状態のアプリをストアにアップして広告を打っても、なんの成果も得られるわけがありませんので、最低限「この機能さえあれば、このアプリの目的は達成される」という状況までは開発してからリリースしましょう。
2. 少額から始める
いきなり何十万円も使う必要はありません。今の時代、1日500円や1,000円といった少額からでも広告出稿は始められます。まずは缶コーヒーを数本我慢するくらいの金額でいい。その一歩を踏み出す勇気が、現状を打破するかもしれません。
3. まず試すべきは「Instagram広告」
では具体的にどの広告から始めるべきか。色々ありますが、個人開発のスマホアプリ、特に「ポイント案内所」のようなBtoCアプリなら、まず試すべきは「Instagram広告」 だと個人的には思います(アプリの内容によっては適していないこともあることは否めませんが...)。
逆に、個人開発者がやりそうなX(旧Twitter)のブースト機能、あれはダメです。
「いいね」はいっぱいもらえるかも知れませんが、全然クリックしてもらえません。
Instagram 広告が良い理由は3つです。
- 圧倒的に視覚(ビジュアル)に訴えかけられること。
アプリの魅力的なスクリーンショットや、実際の操作感を短い動画(リールやストーリーズ)で見せることで、ユーザーは「あ、これ便利そう」と直感的に理解してくれます。 - ターゲティングの精度がずば抜けて高いこと。
必要に応じて設定できるほか、ある程度であればInstagramが自動的にターゲティング設定もしてくれます。 - ユーザーはスマホでInstagramを見ており、広告から数タップでアプリストアに遷移してインストール、という流れが非常にスムーズ
X(旧Twitter)はパソコンで見る人も多い印象ですが、Instagramはスマホで見る人が多いので、この点もメリットです。
この三拍子が揃ったInstagram広告は、我々個人開発者にとって最強の武器の一つだと思っています。
4. 針の穴を通すような「超ターゲティング」を行う
個人開発の最大の強みは、「誰に使ってほしいか」が明確なことです。その解像度を、広告にそのままぶつけましょう。年齢、性別、地域、興味関心などなど。「こういうことで困っている、こんなものが好きな、あの人に届けたい」というレベルまでターゲットを絞り込み、それが直接伝わるような広告を打ちましょう。
例えば、「ポイント案内所」では以下のような広告を出しています。

「レジの前で迷わない。」 というこちらが最も伝えたい、かつ実際にそういった経験をしたことがあるユーザーに刺さるメッセージを大々的に打ち出すことで、インプレッション数に対して 3〜5%程度のクリック率(CTR) を維持しています。
Instagram広告の平均クリック率(CTR)が1%であることを考えると、かなり良い結果が出ていると思います。
参考記事
クリックが必ずしもインストールに至るかはまた別の問題ですが、少なくとも「認知される」という点では良い成績を出せていると考えています。
5. 成果もちゃんと確認しよう
広告は「出して終わり」ではありません。クリック率などのデータをしっかり分析します。どの広告文が響いたのか、どの画像がタップされたのか。データは嘘をつきません。結果が悪ければ、それは失敗ではなく「このやり方は響かない」という貴重な学びです。その学びをもとに改善を繰り返す、執念深いPDCAこそが、個人開発の広告戦略のキモです。
「金がないからやらない」のではなく、「成功するために、賢く金を使う」。それこそが、現代の個人開発者が取るべき、最も現実的で効果的なマーケティング戦略だと私は確信しています。
おわりに
ここまで、私が個人開発において大切にしている「開発」「運営」「マーケティング」の3つの要素について、かなり正直に、そして赤裸々に書いてきました。
やっていることは、 「地道な手作業で情報を集め、ユーザーの声にひたすら耳を傾ける」 という泥臭くアナログな部分と、 「世の中は金。広告を賢く使って攻める」 という割り切ったデジタルな部分。
一見すると両極端に見えるかもしれませんが、この両輪を全力で回すことこそが、リソースの限られた個人開発のリアルな生存戦略なのだと、この半年間で痛感しています。
もし、この記事を読んでくださっているあなたが、今、何かを作りたい、世の中に届けたいと思っているなら、ぜひその情熱を形にしてみてください。最初から完璧なものは作れません。私自身も、毎日が試行錯誤の連続です。でも、自分自身が「これだ」と信じるものを作り、ユーザーと真摯に向き合えば、必ず道は拓けると信じています。
「ポイント案内所」も、まだまだ発展途上のアプリです。これからも皆さんの毎日が少しでも便利でおトクになるように、いただいた声を頼りに改善を続けていきます。
もし少しでも興味を持っていただけたら、ぜひ一度ダウンロードして、あなたがお持ちの決済方法を登録して、いろいろなお店で使ってみてください。そして、使いにくい点や「もっとこうだったら」というご意見があれば、アプリ内のフォームなどから、遠慮なく教えていただけると嬉しいです。
長くなりましたが、最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
この記事が、そして「ポイント案内所」が、あなたの毎日を少しでも豊かにするお手伝いができれば、個人開発者としてこれほど嬉しいことはありません。
▼「ポイント案内所」のダウンロードはこちらから!
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